「かぶせ釣り」という言葉、聞いたことはありますか?これは広島県を発祥とする、瀬戸内ならではの伝統釣法です。カキの養殖が盛んな瀬戸内海だからこそ生まれた釣り方で、殻付きのカキをエサに、堤防の際からチヌやコブダイを狙います。シンプルな仕掛けで大物が狙えると、地元釣り師に長く愛されてきました。今回はそんなかぶせ釣りの基本から、春の攻略法まで丸ごとご紹介します!

かぶせ釣りとは?瀬戸内生まれの伝統釣法
かぶせ釣りは、広島県の竹原・三原エリアを中心に50年以上の歴史を持つ釣法です。名前の由来は「カキをかぶせるように落とし込む」動作から。その最大の特徴は、オモリを使わないこと。道糸・ハリス・針・エサ(カキ)だけという極めてシンプルな仕掛けで、カキ自体の重さだけで仕掛けを沈めていきます。
カキ養殖漁場が多い瀬戸内海では、チヌやコブダイがカキを主食としているため、この釣り方が非常に有効です。堤防の岸壁際に沿って仕掛けをゆっくり落とし込み、魚のアタリを待つ――シンプルだからこそ奥深い釣りとして、今なお多くのファンがいます。
狙える魚種
- クロダイ(チヌ):かぶせ釣りの代表的ターゲット。40〜50cmクラスも十分狙える
- コブダイ(ハンマーヘッド):瀬戸内ではコブダイ専門のかぶせ師も多い。60cm超の大物が潜む
- イシダイ:磯の王者も堤防から狙えるのがかぶせ釣りならでは
- タコ・アイナメ:外道も多彩で、釣果が楽しい
かぶせ釣りの仕掛けと必要なタックル
仕掛けがシンプルな分、タックル選びも迷いにくいのが嬉しいポイントです。基本的な構成を覚えれば、初心者でもすぐに始められます。

竿(ロッド)
長さは2〜2.4m程度の短竿が基本。落とし込み釣り用やヘチ竿が適しています。穂先が柔らかくアタリを感じやすいものを選びましょう。遠投は不要なので短めの竿が扱いやすく、堤防の際に沿わせる操作性が大切です。
ライン・ハリス
道糸はナイロン5〜7号が基本。太めのラインを使うのは、チヌやコブダイの引きに対応するためと、岩やカキ殻でラインが傷みやすい環境に対応するためです。ハリスは4〜5号程度で、ノーシンカー(オモリなし)のまま使います。
針
小磯針や丸セイゴの7〜10号が定番。カキをしっかり刺して落とせる強度が必要です。チヌ針でも代用できます。
エサ(殻付きカキ)
かぶせ釣りの命はエサの殻付きカキ。カキの殻を少し割って中身を見せながら針に刺し、砕いたカキ殻をコマセとして撒きながら釣ります。エサは地元の漁港や魚市場で購入できることも多く、瀬戸内ならではの手に入れやすさも魅力です。
かぶせ釣りの釣り方・基本の手順
釣り方は落とし込み釣りに近く、堤防の壁際に仕掛けを落とすのが基本です。以下の手順を覚えれば、初めてでもチャレンジできます。
①コマセを撒く
まず砕いたカキ殻を堤防の際に数個パラパラと撒きます。カキの香りと破片が水中に漂い、魚を寄せるコマセとして機能します。地元のかぶせ師はこれを「コカシ」と呼ぶこともあります。
②仕掛けを壁際に落とす
針にカキを刺したら、堤防の壁ギリギリに仕掛けをそっと落とします。オモリなしのため、カキが自然な速さでゆっくり沈んでいきます。壁スレスレを狙うのがコツで、少し離れただけでアタリが減ります。
③アタリを感じ取る
道糸のラインフケを一定に保ちながら、アタリを待ちます。アタリは「ラインがスッと走る」「道糸が止まる」「竿先がモゾモゾする」などさまざま。違和感を感じたらすかさず合わせましょう。
④ポイントを変えながら探る
反応がなければ少しずつ場所を移動して探ります。潮のぶつかり目(ブッツケ)や、波が少し波立っているポイントが一級場所。魚の警戒心が下がり、エサをより自然に流せます。
4月・春のかぶせ釣りはチャンスシーズン!

かぶせ釣りの最盛期は真夏ですが、4月から十分に狙えます。春は水温が上昇し始め、チヌの活性がグッと上がる時期。産卵を控えた大型の個体が浅場に入ってくるため、40〜50cmクラスのチヌが堤防から狙えます。
瀬戸内の春は、広島・呉・尾道・竹原エリアの堤防でかぶせ釣りの釣果情報が増えてくる時季です。「今年もチヌが上がり始めた」という声が地元の釣具店から聞こえてきたら、かぶせ釣りのスタートサインです。
春のかぶせ釣りポイント選びのコツ
- 水深のある堤防の際を選ぶ(足場から水面まで2m以上あると安定して探れる)
- カキ養殖棚の近くは魚が集まりやすい
- 潮通しの良いポイントを選ぶ
- 朝マズメと夕マズメに活性が上がりやすい
かぶせ釣りを始めるのに必要な道具まとめ
改めてかぶせ釣りに必要な道具をシンプルにまとめます。初期投資が少ない点も、この釣りの魅力のひとつです。
- 竿:落とし込み竿・ヘチ竿(2〜2.4m)
- リール:小型スピニングまたはヘチリール
- 道糸:ナイロン5〜7号
- 針:小磯針・チヌ針(7〜10号)
- エサ:殻付きカキ(地元漁港・魚市場で入手)
- ライフジャケット・ロングフィッシュグリップ(大物対応)
まとめ:瀬戸内の伝統釣法でチヌを狙おう
かぶせ釣りは、余計な道具が要らずシンプルな仕掛けで大物が狙える、瀬戸内ならではの奥深い釣りです。カキを使った独特のスタイルは、地元の漁師文化と密接に結びついており、地域の釣り文化を体感できる貴重な釣法でもあります。4月の春シーズンはチヌの活性も高く、かぶせ釣りデビューの絶好のタイミング。ぜひ瀬戸内の堤防でチヌやコブダイとの勝負を楽しんでみてください!
