「今日もクーラーがヤバいことになった」——かぶせ釣りをやりはじめてから、そんな日が増えました。
正直、最初はナメていました。ウキも撒き餌もなく、ただカキを堤防の際に落とすだけ。それのどこが面白いんだと。でも実際にやってみると、この釣りの奥深さにどっぷりハマってしまいました。今回は実釣の一次情報として、リアルな釣果とともにかぶせ釣りの全てをお伝えします。

かぶせ釣りとは? 瀬戸内生まれの独特な釣法
かぶせ釣りは、広島県を中心とした瀬戸内海沿岸で古くから行われている釣法です。牡蠣養殖が盛んなこの地域では、牡蠣の身や殻が昔から漁師の間でチヌ釣りの最強エサとして使われてきました。その釣り方がまさに「かぶせる」こと——堤防やテトラ帯の真下へ、仕掛けをドスンと落とし込むスタイルです。
ウキも使わず、撒き餌もなし。ただエサを真下に落とすだけ——この潔さがかぶせ釣りの醍醐味です。しかしその単純さの中に奥深い技術があり、地元のベテラン釣り師に何十年も受け継がれてきた理由があります。

かぶせ釣り最大の武器——専用ロッドの「超感度穂先」
かぶせ釣りを語るうえで、専用ロッドの話は外せません。最初は「磯竿でもいけるだろう」と思っていたのですが、専用竿を使ってみてその考えが180度変わりました。

この写真の穂先、見ていただけるとわかるのですが、本当に繊細です。チヌが「少し突いた」「エサを咥えかけた」という微細なアタリも、この穂先を通じてしっかり手元に伝わってくる。磯竿では気づけなかったアタリが取れるようになり、釣果が劇的に変わりました。
かぶせ釣りのアタリは思ったより繊細なことが多く、「モゾッ」とした小さな変化が本命のチヌだったりします。専用竿の感度があってこそ、この釣りの真の面白さが味わえると実感しています。
かぶせ釣りで使う仕掛けと道具
かぶせ釣りはシンプルな仕掛けが特徴です。専用竿さえあれば、あとの道具はシンプルにまとめられます。

ロッド(竿)
専用の「かぶせ竿」が最もおすすめです。穂先の感度が全く違います。入門者なら磯竿の1〜1.5号(4〜5メートル)でも代用できますが、専用竿の感度を一度体験すると、もう戻れません。長い竿のほうが際に仕掛けを落としやすく有利です。
リールとライン
リールは小型のスピニングリール(2000〜3000番台)が扱いやすいです。ラインはナイロン3〜4号を使用。道糸には視認性の高いカラーラインが便利で、ラインの動きでアタリを取ることもあります。
仕掛け(ハリス・針)
ハリスはフロロカーボンの2〜3号を40〜60センチ程度取ります。針はチヌ針の3〜4号が定番。牡蠣の殻に針を刺しやすく、チヌの口に合ったサイズです。
オモリ
ガン玉の3B〜5Bくらいを使って、エサが素直に沈むように調整します。エサの牡蠣自体にある程度の重さがあるので、あまり重いオモリは不要。水深や潮流の速さによって調整しましょう。
エサ(牡蠣・カキ)
かぶせ釣りの命はエサです。生牡蠣を使うのが基本。地元の鮮魚店や道の駅で新鮮な牡蠣が手に入るのも瀬戸内ならではの強みです。エサの付け方は、牡蠣の裏側・貝柱あたりに針を通すのがポイント。

かぶせ釣りのやり方・釣り方の手順
① ポイント選び
かぶせ釣りに最適なのは、テトラ帯・堤防の際・岩礁帯です。チヌが根に潜んでいるような場所、特に「際がはっきりしているポイント」を狙います。瀬戸内では広島・竹原・尾道・三原あたりのエリアに好ポイントが多いです。
② 仕掛けを落とす
堤防の際にできるだけ近づけて、仕掛けをゆっくりと真下に落とします。「かぶせる」イメージで、テトラや壁のそばに密着させるように落とすのがポイント。チヌは際から10センチ以上離れると反応しないこともあります。

③ アタリを取る
仕掛けを落としたら、ラインに指を軽く添えて感触を確かめます。ここが専用竿の真骨頂。穂先を見ながら、ラインに伝わる振動を指先で感じる——「モゾッ」「コツッ」という微細なアタリも逃しません。

④ 合わせとやり取り
アタリを感じたら、すかさず竿を立ててフッキング。チヌが掛かったらテトラや根に潜られないよう、強引にでも引き寄せましょう。チヌは根に走る習性があるため、最初の突っ込みが勝負です。

【サプライズ】真鯛が釣れることもある!
かぶせ釣りをやっていて、ある日とんでもないことが起きました。いつものようにチヌを狙っていたら、突然ズッシリとした重量感と力強い引き——上がってきたのはなんと真鯛でした。

牡蠣は真鯛も大好物。堤防際にマダイが回遊していたタイミングだったようで、チヌ仕掛けでそのまま食ってきました。かぶせ釣りをしていると、こういうサプライズゲストが来ることがあるのも魅力のひとつです。引きの強さが全然違って、やり取りが一層スリリングでした。
チヌ専門の釣りのつもりが、真鯛まで釣れてしまう——これがかぶせ釣りの懐の深さです。
チヌを効率よく釣るためのコツ
- 専用竿の感度を信じる:穂先の微細な変化を見逃さないこと。「なんか変だな?」と感じたら即合わせでOK。
- 際に落とせるかが全て:チヌは際から10センチ以上離れると反応しないことも。できるだけ壁ぴったりに落とすことが大前提です。
- 潮が動く時間帯を狙う:満潮前後・干潮前後の潮が動き始める時間帯が最もチヌの活性が上がります。
- エサを新鮮に保つ:牡蠣は傷みが早いので、クーラーボックスで冷やして持参すること。
- 落とす速度を変えてみる:底に着いたら少し上げて再び落とす「誘い」をかけると食い気を引き出せます。
- 底から少し浮かせる:底ベタより、1〜30センチ浮かせたところにチヌが浮いていることも多いです。
4月のかぶせ釣りは乗っ込みチヌを狙えるチャンス!
4月の瀬戸内は「乗っ込み」と呼ばれるチヌの産卵前シーズン。水温が15〜17℃に上がるこの時期、チヌは浅場に集まって活性が高くなります。かぶせ釣りでも40〜50センチオーバーの大型チヌが狙える絶好のタイミングです。
特に大潮〜中潮の日の朝夕マズメは要チェック。この時期は専用竿の穂先に集中して、わずかなアタリも逃さないようにしましょう。
フカセ釣りとの違いは?
フカセ釣りも瀬戸内でチヌを狙う代表的な方法ですが、アプローチが全く異なります。

| かぶせ釣り | フカセ釣り | |
|---|---|---|
| エサ | 牡蠣(殻・身) | オキアミ・練り餌 |
| 撒き餌 | 不要 | 必要 |
| ウキ | 使わない | 使う |
| 狙い方 | 際に落とし込む | 流して広範囲を探る |
| 道具代 | 比較的シンプル | 撒き餌代がかかる |
どちらにも良さがありますが、瀬戸内でカキが手に入る環境なら、かぶせ釣りは圧倒的にコスパが高い釣りです。撒き餌不要で、あれだけのチヌが釣れるのですから。
【上級者向け】筏に乗れば釣果が爆増することも
堤防からのかぶせ釣りでも十分すぎるほど釣れるのですが、さらに上を目指したい方にお伝えしたいのが「筏釣り」という選択肢です。
地元に詳しい知り合いや船宿に連れてもらって、牡蠣いかだや沖の筏に乗り込む——これがかぶせ釣りの最終形態とも言えます。筏の真下はチヌの絶好のすみかで、牡蠣殻が常に降り注ぐ環境に魚が年中集まっています。堤防では「どこに落とすか」を悩む場面も、筏では文字通り足元どこに落としても魚がいる、という状況になることも。

筏の上では、落とす→即アタリ→取り込む→また落とすという怒涛の展開になることも珍しくありません。専用竿の感度がフルに活きる場面で、初めて筏に乗ったときは釣れ続ける状況に笑いが止まりませんでした。
筏釣りへの参加方法は、地元の釣り船や筏を運営している業者に問い合わせるのが一番の近道です。「かぶせ釣りがしたい」と伝えると、慣れた案内人が的確なポイントに連れて行ってくれます。堤防からのかぶせ釣りに慣れてきたら、ぜひ次のステップとして筏を体験してみてください。釣果の次元が変わります。
まとめ:かぶせ釣りは「感度の釣り」——そして底なしの奥深さ
実際にやってみて強く感じるのは、かぶせ釣りは「感度の釣り」だということです。専用竿の繊細な穂先が生み出す感度、ラインから伝わる微細な振動——その情報を読み取って合わせを入れる瞬間の快感は、他の釣りではなかなか味わえません。
道具はシンプル、エサは牡蠣、ポイントは堤防の際。でもその先には、クーラー満タンのチヌ、まさかの真鯛との出会い、そして筏での爆釣体験まで——かぶせ釣りの世界は奥が深いです。
瀬戸内エリアに住んでいるなら、ぜひ一度かぶせ釣りを体験してみてください。堤防から始めて、慣れてきたら筏へ。きっと、この釣りの虜になるはずです!
